【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ

「サンタクロースは居間に集合!」

 部屋中に響くドン*サンタの声。

 タクローとトナカイはウィンドブレーカーを着こんで居間に出向いた。

 居間には様々なサンタクロースが大集合していた。

 本場フィンランドから来ているサンタは皆様が想像している「あの」サンタで間違いなかろう。

 アメリカから来ているサンタは日焼けマッチョに真っ白い歯、サングラスは必須アイテムだ。

 インドから来ているサンタのレンタルサンタ服は、カレー色だ。香辛料を香水に使っているため、カレー臭は否めない。

 オーストラリアから来ているサンタは、太りすぎて服が破れかけていた。

 そして、我が日本からはこのペアだ。

 居酒屋の店先に置かれているあのタヌキの置物を思わせるデカっ腹のおっさんサンタに、秋田犬に角をつけたようなトナカイだ。



「あーあーあー」

「只今マイクのテスト中。ワンツーワンツー」

「アテンションプリー」

 ドン*サンタの有り難くない演説の始まりだ。

 真っ赤なシャツに星柄の短パン。ゴールドのアクセサリーを全身にこれでもかと付けまくったヤクザなおっさん。

 それが、サンタクロース新興協会の会長ドン*サンタだ。

 ドンに逆らうと、配達区域は必ず網走になるため、みな、イェスマンに撤するのが遠い昔からの習わしになっていた。


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