【新】サンタの仕事も楽じゃねぇ

 タクローは怪しいマンションの怪しい小部屋、看板の無い病院、つまりやぶ医者のもぐりが開院している病院に出向いていた。

 パイプ椅子に向かい合って座る初老の男は犬歯に金が巻かれていた。

 名前を『あなた野』という。

「あなたのさん、どうもお久しぶりです」

「いやいやこちらこそ。ここに来るのはタクローさんとぼっちゃんくらいですから」

「あぁ、霧吹のぼっちゃんはお元気で?」

「すこぶる」

「懐かしいですなぁ。あれはぼっちゃんがまだ5、6歳のころでしたかねぇ」

「そうですねえ、どうしても欲しいとここで泣き叫んでいましたっけ」

「おやっさんとさしで麻雀の勝負をと、挑んでましたねぇ」



「「いかさまな手法のおやっさんにこてんぱんにやられてましたねえ、懐かしい」」



 がははははという下品な笑いが部屋中に響いた。


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