私の失恋。
貴方の笑顔
__あははっ__

遠くから、貴方の笑い声が聞こえてくる

貴方は元々声が大きいから、教室の隅っこの席に座ってる私にまで聞こえてくる

そんな所も、私は好き…

だけど、今はもう、私の気持ちは伝えられない

「やだぁっ、貴裕ったら」

甲高い声が教室中に響く。

その声の持ち主は、“清野汐梨”

私の想い人、“北野貴裕”君の彼女

彼女は優しいし、とても可愛らしい

だけど、時々とても怖い感じがする

私が先週、北野君にプリントを渡しに行った時

「いいよ、佐伯さん。私が貴裕に渡すから」

と言って、少し強引に私から北野君のプリントを取る。

その時の清野さんは顔は笑ってたけど、目が笑ってなかった

だから、少し清野さんが怖い

__ガララッ__

「チャイム鳴るぞー、席につけー」

先生の低くて太い声が聞こえた後に、皆は席についた

「出席取るぞー、相田ー」

先生は教卓の前に立つと出席表を取り出して、クラスメイトの名前を次々と口に出す。

「北野ー」

「はい」

北野君の声が聞こえ、私は少しだけ横眼で北野君を見つめる

ハッキリしてる輪郭、整った鼻、少しだけ長い睫毛

こんな事考えている自分が気持ち悪く思って、顔を机に伏せた

すると突然

「佐伯っ!!!」

先生の大きい声が私の苗字を呼ぶ

「は、はい!」

私は一目散に立ち上がり、少し裏返った声で返事をする

「いるじゃないか、ちゃんと返事しろよ」

「は、はいぃ…」

といいながら、私は席につく

それと同時に、クラス中に笑いが込み上がった

私はとても恥ずかしくて仕方が無かった

北野君の方を見ると

「…プククッ…」

と、必死に笑いを堪えてた

(北野君にまで笑われちゃった)

そう思うと益々顔が赤くなり、しばらくの間、私はずっと机に顔を伏せていた
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