お茶の香りのパイロット
メカニックスタッフたちは緊急会議を開いてスーパードールの対処について話し合っていた。


ナオヤは機動性に特化したドールや追尾能力の高い武器を持つロボットの開発を提案した。
しかし、両方に着手するには資金面と開発日数の問題があった。


「長引く戦争のせいで大陸全体が疲弊しているからな。
ロボットを持っているだけでも大変なことなのに、機動性高いドールだなんてなぁ。」


「けど、ドールの材質って硬質プラスチックのようなものなんだろ?
かなり安上がりなんじゃないのかな。」


「そうか・・・無人ならではの考え方か。
だが、それならば操作しているのは、すご腕のプログラマーってことにならないか?
もしかしたらゲーマーかもしれないがな・・・。」


「小型の人形とゲーマーに当たりをつけられれば、かなりの低コストというか使い捨て材質でもいいってことになるよな。」



会議では、低コストと無人で話がまとまろうとしていた。


そのときだった・・・。


「低コストと無人ゲーム機とゲーマーの案はそのままで、平行して機動力のあるロボットと並みはずれた動体視力と操縦センスを持つパイロットの方を何とかしたいんです!」



「お、アルミス様!!!」


「アルミス様、このようなところまで来られては傷にさわります!」


「一刻の猶予もならない時に、寝ているわけにはいきませんよ。
それに私はまだ起動はしていませんが、パイロット待ちのロボットを保有していますし。

機動力については以前から考えてはいました。
そこに特化改造を施して、1機だけでも人が操縦できるようにしたいんです。

敵が人形の遠隔操作をしているなら、ある程度距離をとったり、人形がデータや目視で追えなくなったときがねらい目であるはずです。

危険をおかしてまで、人が直接操縦することを重視している我がロボットは負けるわけにはいかないんです。」



「確かにな・・・。アルミス、すまない。俺は金のことと早急な対処のことばかりにふりまわされてたよ。」


ナオヤはふらついたアルミスに肩を貸しながらそう言った。


「私の人脈が乏しいから苦労をかけますね。
フィア以外のいいパイロットをスカウトしなければいけないのですが・・・アテがなくて。」


アルミスが表情を暗くすると、リンダがケロっとした顔をして発言する。


「アルミス様が落ち込んではダメですよ。
私のリサーチでは3つ隣の町の女子校までアルミス様のお店の噂は広がっているんですよ。
絶対、すごいパイロットの人がやってきますって。

それに、アルミス様には優秀な人材を集める力がおありになるんです。
もっと自信をお持ちくださいな。」


「リンダさん・・・いろいろ尽力いただいてありがとう。
で・・・その女子校に広がっているうちの店の噂って何ですか?」



「決まってるじゃないですかぁ!
きれいで色っぽい王子様が、とびきりおいしいお茶やコーヒーを入れてくれるステキなお店だって宣伝してありますからねっ!

もうアルミス様の写真は飛び交いまくりですわ!!」



「えっ・・・?写真ですか・・・どんなのでしょうか?

えっと・・ちょっと拝見しますね。うわっ!

こ、これってコスプレじゃないですかぁーーーーー!いつの間にこんなかっこうで?」



「あ、コスプレ部分はパソコンでちょいちょいっとですね。創作です。えへへ。
もとが最高級なお方ですから、ちょっといじっただけで、アイドル以上の反応ですぜ~~だんな!」



「リ、リンダさん!!!!ここまでは困りますよ。
それに、パイロットはできれば男性の方がいいんですけど。
女性に怪我させるのは、したくありません・・・。」



「なるほど、男性希望ですね・・・じゃ、アルミス様にはしっかりと受け狙いにふさわしい見た目で。」


「受け?」


「いえいえ、こっちの話です。きれいな人はマッチョに好かれるのが腐女子思考の基本よね!
いや、シブ系でもいいかしら?うふふ。」
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