お茶の香りのパイロット
頭を抱え込みながらアルミスは受けるしかないと思った。


「はぁ・・・そこまで考えているなら仕方ないですね。
しかし、機体そのものを今傷つけるわけにはいきませんから、対戦はラーガとアフィニのシミュレーション台でやりましょう。

結果は実戦と同じですから実力を知るためなら十分だと思いますが?」


「わかりました。それでお願いします。」



(なんでこんなことになってしまったのやら・・・私が今いちばん知りたくてしたいと思うのはフィアにマーティーのことをきくことと、キスの消毒なのに。クソッ!

だけど、ここまで真剣に挑まれたら・・・嫌ではありませんね。
少しワクワクさえしてきます。)



「用意はいいですか?」


「ええ、スタンバイOKよ。」


フィアはマーティーとゲームで対戦したときのことを思い出した。


(なんか不思議な偶然だとしか言えないけど、ここでも負けるわけにはいかないわ。)


対戦が始まってすぐにアルミスの操るラーガを一気に逆噴射させ後退させた。


(距離をとって長距離砲を撃ってくるつもりね。
そうはさせないわ。後ろへ行けないように威嚇攻撃するわ。)


(ふふっ、やはり撃ってきましたね。
私はあなた相手に離れようとは思いませんからね。

後ろと左右は誘導です。狙いは1つだけ・・・。)



アルミスは後ろに行き詰ると砲撃をして左右に揺さぶりをかける。



(よし、この位置なら連撃でいける!)

「もう動けないわよ、もらったわ!」


「さあ、どうかな?」


「いない!?どこ?」


「ふふっ、終わりです。
はい、喉元にナイフを突きつけられた気分はどうですか?
怖いでしょう?」


「あ・・・どうして。私の距離で撃てるところにいたのに。」


「錯覚ですよ。
同じ動作を何度も何度もやっているうちに、私の砲撃で下がる距離の感覚が狂ってしまったんです。
私は微妙に攻撃を変化させていたのに気付かなかったとはね。

いや、失礼。
手伝ってもらっている上に、私は君を守るといいながらこんな発言はいけなかった。
でも、フィアの負けですから私についてきなさい。」


「はい・・・。(悔しいけど、思ってもいなかった負けだもの。何をさせられるのかしら。)」


アルミスは自室にフィアを入れるとさっとお茶をだした。


「お疲れさまでした。どうぞ。」


「すみません。あの・・・私のことは気にしていただかなくてもいいので、もう格納庫にもどっていただいても・・・。」


「気にします!すごく気にしてるから追いかけてきたんです。
マーティーにキスされたのは本当ですか?
2人きりで部屋に入って長い間出て来なかったっていうのは、どうしてです?」



「カイウさんからきいたんですか?
キスは挨拶だと思いますし、部屋ではさっきみたいに対戦ゲームをしていました。
マーティーさんは、みんなに内緒って言いながらけっこうゲームおたくだったんです。
いつもはディーナさんと遊んでいるけれど、負けばかりだからって私が誘われて、いっしょにゲームで遊んでいただけです。」


「それを私に信じろと?」


「信じてくれなくてもかまいません。
事実を言ったまでですもの。
それと、さっきのディーナさんへの発言はあんまりです。

ディーナさんはアルミスに会えるのをとても楽しみにしていました。
なのに、私のことを出して特別扱いとかは困るんです。」


「特別扱いしたいのは私の意思です。
それに、私が追いかけてきたのはこうするためです!」
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