世界で一番、ずるい恋。




あぁ、矛盾してる。

自分で言っておいて胸が痛い。


先生、そんな辛そうな顔をしないでなんて思ってしまう。

そんな顔をさせてるのは他の誰でもない私自身だっていうのに。




「頼むから、阿波…」

「頼むから、何ですか?というか、何を頼むんですか?」





やめてください、先生。

そんな、すがるような瞳で私を見ないでください。


決心が、揺らいでしまう。





「恋那ちゃんも大人しそうな顔して、まさか先生と付き合ってるなんてーー」

「やめろ」




余裕があるということを見せようとしたら、先生の冷たい言葉にピシャリと黙らされてしまった。


聞いたことのないほど、低く冷たくて、軽蔑したような声。


いや、ようなじゃなくて本当にされてるんだと思う。


何だか私の方が焦ってきた。



……形勢逆転、かな。

条件的には、どう考えたって私の方が有利なのに、私が先生を好きだというどうしようもない現実が、きっと私を不利にさせてる。







< 114 / 264 >

この作品をシェア

pagetop