Snow Love. ~大好きなキミへ~


“幼い頃の記憶は覚えていない”


ほとんどの人が口をそろえてそういうけれど。


幼い頃の私の記憶は、今でも頭の中に鮮明に残ってる。


私の頭の中からは、一回も消えたことはない。


あの10年前の、6歳の冬。


あの時、あの瞬間に起こった悲劇。


どんなに忘れようとしても、消そうとしても、全く消えてくれないんだ。


でもそれが、きっと私への罰。


「う………っ」


でも、人間はどんなに頑張っても、心の底から溢れてくる本当の気持ちを偽ることなんてできやしないんだ。


泣くな、泣くな。

泣いたらダメ。


「………うっ……うぅ……」


いつの間にか、あの一組の親子の姿は見えなくなっていた。





< 44 / 353 >

この作品をシェア

pagetop