【完】君ノート
「優くん…。私、走ってきたから汗くさい……」
「んなの、どうだっていい…。
このままでいさせて」
もっと、実感させて。
花音の温もりを…。
今、俺の名前を呼んでいるのは…君なんだって。
「……優く…。わ…私っ…。
私も……優くんを抱きしめ…た…い」
「うん」
「抱きしめて……いい?」
花音の肩に顔をうずめている俺は、
花音の声を耳もとで聞くことができた。
「うん」
きっと、もっとうまい返しがあったと思う。
でも、今の俺には、
それを言うのが、精いっぱいだった。