【完】君ノート
花音は遠慮がちに、細い手で俺を抱きしめた。
「優くん……。私……約束、守ったよ?」
いつかの約束。
覚えていてくれたんだな。
───────────。
『花音はまず、声が戻ったら何したい?』
〔まず最初はね?私の声で優くんと話したいな〕
『…じゃあさ。俺のお願い聞いてよ。
花音の声が戻ったら、俺の名前を最初に呼んで?』
〔約束する〕
俺の言葉と、
花音のノートに紡ぐ言葉。
〝やくそく〟
口パクでそう言った君と、指きりをした。
まるで喋ってるような感覚だったんだ。
君の声を、早く聞きたいって思ったあの日。