【完】君ノート
「優……くん?」
立ち上がった私は、優くんとは遠くはない。
優くんをこんなにも近くに感じる。
ふたつの重なった手は、温かかった。
「世界がなくなるなら……。
花音のそばにいたい。
花音の想いを聞きたい。
そんで、花音に名前呼ばれたい。
世界が終わる、最後の瞬間まで」
こんな変な質問なのに。
優くんの好きじゃない、もしもの話なのに。
優くんは真剣に答えてくれた。
「私、今すごく幸せ。
優くんの隣にいれること。
私が喋れてること。
この声で、優くんの名前を呼べて、
優くんに自分の想いを伝えられること。
すごくすごく幸せだよ」
優くんは、いなくなると言った私を許さないって言ってくれた。
心が温かくなった。
私は、君の隣にいてもいいんだね。