【完】君ノート
静かな空き教室。
寒くなる季節の放課後。
日が暮れるのは、あまりにも早くて。
花音の音と、ピアノの音がハーモニーを奏でる。
それはキレイに響き合う。
君と……響き合う。
この音はきっと、みんなを幸せにする。
花音はその夢を叶えて。
未来にも、君の声を必要とする人はきっといる。
すくなくとも、俺がそのひとりだ。
〜♪〜♪〜♪
歌い終わった花音は、ゆっくりとこちらを向いた。
「どう……かな?」
窓辺に映る外の景色は、オレンジ色。
花音を照らしていた。
今にも花音に羽がはえて、どこかへ行ってしまいそう。
そんな気さえした。
「すっげー……キレイ」
俺の目に映る花音が、すごくキレイだった。