【完】君ノート
せっかく入学できるはずだった高校も、私の家庭の事情で行けなくなって。
そんな私は、おばあちゃんちにやって来た。
おばあちゃんは優しく私を迎え入れてくれた。
なにもかもを失った私を優しく包みこんでくれた。
「大丈夫だよ」
そう、ひとこと言って。
おばあちゃんは優しいの。
声の出ない私のために、
はい・いいえで答えられるようなクローズドクエスションという質問しかしない。
その質問に私は、
はいのとき頷いて、いいえのときは首を横にふる。
そんな動作で、言葉を伝えていた。
声が出ないから仕方ない。
言葉の幅が狭まれただけだよ。