助手席にピアス
Sweet*14

自覚した想い


年末と年始を実家で過ごした私は、一月四日の正午頃に実家を後にした。

結局、琥太郎とは初詣の日から一度も顔を合わせないまま。優しい琥太郎は『これからも俺と雛は幼なじみだ。この関係はずっと変わらねえよ』と、言ってくれた。

けれど、私と琥太郎の関係は『好き』という言葉によって、変わってしまったよね……。

いつも隣で無邪気に笑い合っていた幼い頃のような関係には、もう戻れない。ピーターパンじゃないけれど、大人になんかなりたくないと思いながら、電車の窓に映るヘコんだ自分の顔をじっと見つめた。



東京のワンルームマンションに着いたのは、午後四時を過ぎた頃。長い時間、電車に揺られていたせいで少し疲れていたけれど、やっておかなければならないことがある。

空っぽの冷蔵庫を補充するために買い物に行かなければならないし、掃除と洗濯もしておきたい。

実家を後にして数分時間しか経っていないのに、親のありがたみを実感しながらキャリーケースから荷物を出した。するとスマートフォンが音を立てる。

「もしもし。雛か」

「うん」

着信表示を見なくても、相手が誰なのか私にはわかる。

「雛が東京に帰ったって聞いたからさ。無事に着いたのか気になって」

「さっき家に着いたばかり」

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