助手席にピアス
朝晩はまだ冷え込みが厳しいけれど、太陽の日差しを浴びる日中はコートがいらないほど暖かさを感じる日が増えた。
桜が咲き乱れる春も、もうすぐそこまで来ていると実感した今日。ハニーフーズの業務を終わらせた私は、焦りながら駅ビルのドレスショップに駆け込んだ。
その目的はもちろん、朔ちゃんと莉緒さんの結婚式に着ていくドレスを選ぶため。
朔ちゃんと莉緒さんの結婚式当日は、すでに持っていたドレスを着て行こうと思っていたけれど……。
この期に及んで、琥太郎にかわいく見られたいという乙女の気持ちに支配された私は、こうしてギリギリになってショップを訪れたのだ。
真っ先に目が行ったのは、胸もとが大きく開いたワインレッドのドレス。
これなら童顔の私が着ても、大人っぽく見られるよね。でも、自分が自分らしくいるためには、背伸びをしても仕方がないか……。
素直にそう思えた私は、大好きな色のベビーピンクのドレスに手を伸ばす。ホルターネックの首もとに光るビジューが、とてもキュート。
試着をした私は迷わず「これにします」と即決した。
このドレスを着て、朔ちゃんと莉緒さんの結婚式の後に、自分の気持ちを打ち明けたら、琥太郎はどんな反応をする?