助手席にピアス

ショッピングバックを抱え、胸をドキドキさせながら駅ビルを出ようとした、その時、ある物が目に留まる。

その物は、私にとってあまりいい思い出とは呼べない物。けれど今の私は、その思い出よりも、その物の力に頼りたい気持ちの方が勝った。

きっと、これがお守りのように私の願いを叶えてくれるよね……。

そう信じた私は数ある種類の中から、一番シンプルな物を手に取るとレジに向かった。



本日はお日柄もよく、という言葉通り、太陽がまぶしく輝く大安吉日の今日。待ちに待った、朔ちゃんと莉緒さんの結婚式が執り行われる。

素敵な一日になりそうな予感を胸に抱きながらガトー・桜に向かうと、淡いクリーム色の外観、日差しがたっぷり注ぐ、大きな窓。そして深いグリーン色のルーフが見えてくる。

もうこれでガトー・桜に訪れるのも本当に最後なんだと思うと、感傷的な気持ちになってしまった。けれど今日はセンチな気分に浸っている余裕などないくらい、忙しい一日になるはずだ。

大きく深呼吸をして気持ちを切り替えると、ガラス戸の扉を勢いよく開ける。

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