My sweet lover
心臓の音がうるさいくらいに鳴って、私の視界が小刻みに揺れる。


「こ、恋仲になんて…」


震える声を発すると、社長は椅子に腰を下ろし腕を組んだ。


「お前にそういう感情がなくても、朝日はそうじゃない。

このままお前に担当を続けさせるのは危険だと判断しただけだ。

何か文句があるか?」


社長の鋭い視線が私の胸を突き刺して、ズキズキと痛い。


「いえ…、ありません…。失礼します…」


震える足を無理矢理動かして、ドアへと向かう。


「おい、水沢」


社長の声に、私はゆっくり振り返った。


「お前、朝日の事…」


私は首を横に振った。


「私は、恋人がいる人を好きになったりしません…」


そう言うと、社長の顔がほんの少し緩んだ。


「そうか…」


私はドアへと向かい、社長室を静かに出た。

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