嗤うケダモノ

『えー、突然デスがー。
俺は一年五組の木崎日向さんに恋しちゃいマシター。』


「ナニをぉうっ??!!」


本人がソコにいないにも関わらず、日向は声を荒らげて憤然と立ち上がった。

ナニをホザいてやがンの、あの男は。

そんなコト言ったら…

ホラホラ、見て見てー。

ますます視線の槍が突き刺さってるー。
死亡直前の弁慶並みに刺さってるぅぅぅぅぅ。


『彼女はとっても可愛くてー。
とってもとっても可愛くてー…
そんでもって、とても気丈な人です。
だから彼女は、今抱えている問題を、俺には教えてくれません。』


トーンを落とした由仁の声に、食堂内の空気が変わる。

日向に刺さっていた槍も、次々に抜けて消滅していく。


『でも、知ってるよ。
全部、知ってる。
心当りのある人はわかるよネ?
俺が、 ナニを、言いたいか。』


特に過激なフレーズはナイ。
怒鳴り声でもナイ。

なのに彼の言葉は、まるで脅迫のようで‥‥‥


『そーゆー野暮な真似はやめて 俺の恋を応援してネー?
俺からのオネガイ☆でしたー』


あ、脅迫じゃねーわ。
『オネガイ☆』だったわ。

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