嗤うケダモノ

うん、わかってる。
短絡的デスヨネー?

窮地を救ってくれた白馬の王子と初めてのキスをしちゃって、アッサリ惚れるとかネー?

シチュエーションに酔ってるとしか、思えないよネー?

でもさー…

どんなに机の角にヘッドバットしても、目が醒めないの。

あんなに怖かったジャ●アンズの顔はキレイサッパリ記憶からデリートされたのに、あの男だけは消えてくれないの。

スマートに相手を出し抜き、いとも簡単に私を救った男。

流れるような動作で警戒する暇も与えず、いとも簡単に私の唇を奪った男。

妖艶に嗤うケダモノ‥‥‥

コレを恋と呼ばずしてなんと言う?

でもこの恋は、始まると同時に終わった恋だというコトもわかっていた。

だって彼は絶対にオトナだ。
なんだったら、ホストだ。

足がチャリンコだったり、ヘッドランプ装備で心霊スポットを本気探検してみたり…
どことなく少年臭さも感じるケド。

少なくとも、中二のクソガキと釣り合うような年齢ではないだろう。

あんな強烈な色気、十代で出せたら犯罪だよ、まじで。

もう二度と会うコトはない。
会えたとしても手は届かない。

だけど私は、彼が言った『イイ女』を目指そうと決めた。

彼を、初恋の人を、ずっと忘れないように‥‥‥

< 14 / 498 >

この作品をシェア

pagetop