嗤うケダモノ

髪を黒くして。
似合いもしない化粧をやめて。
夜遊びもやめて、学校に通い。

私は等身大の私に戻った。

両親は赤飯を炊いて喜んだ。

初潮か。

友人たちは驚いて私を問い詰めたが、
『恋は人を変えるンだよ』
と答えると、呼吸困難で命が危うくなるほど爆笑した。

失礼か。

そんなこんなで軌道修正に成功した私は、二年後、そこそこ自慢できる高校に進学できた。

なんと、ソコには彼がいた。

先生ではない。
生徒だ、二年生だ。

って、嘘ぉぉぉぉぉん??!!

いっこ上だったの?!
じゃ、あン時中三だったの?!

年齢詐称してンだろぉぉぉ??!!

なんてコトはなく。
彼はフツーの高校二年生で。

そしてやはり、フツーではあり得ない異彩を放っていた。

二度と会えないハズだったのに アッサリ会えてしまった。

だけど、手の届かない存在であるコトに変わりはない。

彼は天上のペガサス…もとい、天上のケダモノなのだ。

私を覚えているハズがない。
てか、あの時とは顔面が別物だから、気づいてもらえるハズもない。

もう、触れずにいよう。

恋心に蓋をして、ガムテープで目貼りして、さらに漬物石で封印して。

遠くから、チラ見していよう…

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