嗤うケダモノ

なるほど。
こーゆーパターンか。

由仁はゆっくり瞼を上げた。

彼の瞳に映ったのは、彼。

目尻のほくろ。
跳ねた毛先。
浮き出た鎖骨と喉仏。

腰を屈めた由仁が、横になったままの由仁の顔を覗き込んで笑っていた。

デスヨネー?
声、一緒だったもんネー?

でも、一応聞いとく?


「ドチラサマー?」


由仁も由仁に微笑みかけながら 口を開いた。


「んー? 俺だケドー?」


「そか。
じゃ、俺はダレだろー?
あ、ココってゲシュタルト崩壊実験室なの?」


「ハハ、そーかも。
ナチスの科学は世界一ィィィ」


「ハハ、少佐ヤベぇ。」


二人の由仁が同じ顔で笑う。

てか、ボケ属性同士だと収拾つかねェよ。

なんとかして、ドッチか。


「…
コンニチハ。
初めまして、カナ?
九尾の狐サン。」


上半身を起こした由仁が、由仁を見上げて妖艶に笑った。

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