嗤うケダモノ

まーそんなこんなで、フツーにクリスマスを楽しむ準備は万端なんデスヨ。

だから心配しないで?

今日も今日とて、倉にお籠りしていても。

暗い倉の中央に立ち、深く息を吐いた由仁は…

掲げた掌に青白い炎を灯し、軽く振った。

ナニソレ?
マジック?

ハイ、違いますぅ。
タネもシカケもねーもん。

ソレは狐火。

なんとなーく試しにやってみたら、出ちゃった。

いや、最初は大失敗だったの。
部屋でやっちゃって、畳をちょこっと焦がしマシタ。

だから倉で練習していたのだ。

ココなら、失敗しても焼け死ぬのは自分だけだしネー☆

だが練習を重ねた今では、そんなヘマはしない。

燃える炎、熱を持たない炎。
大きな炎、小さな炎。
灯り続ける炎、そして…

点滅しながら輝く炎。

全て思いのまま。

掌の狐火を握り潰し、倉の様子に視線を走らせた由仁は、不敵に口角を上げた。


「…完璧じゃーん?」


倉の中をコッソリ覗いていた空狐は、難しい顔で呟いた。


「ナニをする気じゃ、あのバカは…」

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