嗤うケダモノ

本物の獣も真っ青なスピードで校舎を駆け抜け、実行委員の面々が作業をしている講堂に辿り着いた由仁は、やはりノックもなく豪快に扉を開け放った。

コチラを見て、目を丸くする男子生徒たちがいる。

コチラを見て、頬を染めて騒ぎだす女子生徒たちがいる。

そして愛しのバニーちゃんも…


「ヒナ…」


「一年女子は取り込み中だ。
出ていってもらおうか。」


日向に向かって足を踏み出そうとした由仁の前に、腕を組んだ樹が立ち塞がった。


「樹、ちょっとダケ。
ね? オネガイ☆」


「断る。」


軽く首を傾げて艶やかに微笑む由仁の頼みを、樹は素っ気なく一蹴した。

やっぱり樹におねだりは通用しない。

だが、こんなコトでは挫けない!


「ねー、まじでお願い。
ヒナ貸して。てか、返して。」


日向を視界に収めようと、伸び上がったり縮んだり…
由仁が身体をグルグル回す。


「無理だな。」


由仁の視界を遮ろうと、伸び上がったり縮んだり…
樹が身体をグルグル回す。

二人Choo Choo Trainか。

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