嗤うケダモノ

「え?
えと… わかりません。
それより、あの…その…//」


「ふーん?
‥‥‥ま、いっか。
あれ? ヒナ、泣いてたのー?」


「え…
えっ?! いやいやぁ?!
泣いてませんケドぉぉぉ?!//
そそれより、あのっあのっ
ふぇっ?!/////」


由仁の長い指が日向の顎を捉えて、強引に掬い上げた。

必然的に、日向の視界は由仁でいっぱい。


「嘘。目ェ赤いし。
どしたの、ヒナ?
ナンカあったのー?」


えー…

『ナンカあったの?』って…


(だって… 先輩が…)


ますます距離を縮めて瞳の中まで覗き込んでくる由仁から目を逸らせないまま、日向はキツく唇を噛みしめた。

景色が歪む。
彼の綺麗な顔が歪む。

でも、イーや。

泣いたってイーや。
カッコ悪くたってイーや。

逃げずに、素直なキモチを伝えなきゃ。


「不安だったンです。
先輩が死んじゃったンじゃないかって。

ずっと不安だったンです。
先輩が私から離れてっちゃうンじゃないかって…」

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