嗤うケダモノ
嫌がらせレベルでインターホンを連打すると、渋々といった様子で扉が開く。
「ユカ…」
顔を出した住人を見て、日向は悲痛な声で呟いた。
カサカサにヒビ割れた唇。
くっきりと浮かんだ目のクマ。
たった数日で、友人は見る影もなくやつれていた。
薄暗い部屋の中に見えるタケルも同様だ。
無精髭も生え放題で、仕事にも行っていないのかも知れない。
「…
とりあえず、まだ生きてるよ。
もう帰ンな。
アンタまで取り憑かれるよ…」
嗄れた声で言ったユカは、すぐに扉を閉めようとした。
「待って、ユ か?!」
突然日向が押し退けられた。
強引に扉を開け放ち、姿を見せたのは…
「初めましてー。
クガ ユージンです。
ヒナのカレシでーす。」
日向のカレシだ。
…
ん? ナンテ?
カレシ?
「「「カレシ??!!」」」
日向とユカ、部屋の中にいたタケルまでもが、素っ頓狂な声を上げた。