嗤うケダモノ

「それで、先生…
昨夜、怪しい光を見たのは、この場所からなンです。」


立ち止まった瑠璃子の声で、由仁は我に返った。


「どの辺りに見えましたか?
どんな様子でした?」


「夾竹桃で見えにくいと思いますが、あの壁には窓があるンです。
ソコから漏れるような感じで…」


杏子の問いに答えながら、瑠璃子は母屋の壁を指差した。

ひょっとして、例の座敷牢の窓だったり?

ソレは見逃せませんナ。


「ヒナ、おいで。」


由仁が手を差し伸べると、大きなアーモンド型の目でジっと彼を見つめていた日向が、小さく頷いた。

手を取り合って、母屋の壁に沿って進む瑠璃子と杏子の後に続くと、さほど歩く必要もなく、すぐに窓は見つかった。

その窓は‥‥‥

え?
ソレ、ほんとに明かり取りの窓?

縦20㎝、横1m程の細い窓で、ガラスが嵌め殺しになっているようだ。

まぁ、コレは当然だろう。
開閉自由なら、座敷牢の意味を成さない。

不思議なのは、窓がある位置。

膝より下の高さにありマスネ。

コレ…
低すぎない?

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