嗤うケダモノ

顔を見合わせた由仁と日向が腰を屈め、二人仲良く中を覗き込んでみるが…

やっぱり、暗すぎてナニも見えない。


「座敷牢は地面に穴を掘って作ったというか…
半地下?のようになっているンですの。」


由仁と日向に近づいた瑠璃子が、同じように腰を屈めて解説をくれた。

地下て。
竜巻避難所か。

だが、こりゃ確かにコワいわ。

こんな下に見えたってなら、地を這う光になっていたハズだ。

その光がユラユラしてたってなら、下からライトアップされた夾竹桃もユラユラしてたってワケだ。

よくある宙に浮いた火の玉的な光より、よっぽどホラーだヨネー?

そんな怪奇現象、ちょっと目撃してみたいケド。
いやいや。
是非とも目撃してみたいケド。

ソレはまたの機会にして、今は別のコトを考えましょうかネ。

身を起こした由仁は、ピンクの花畑と化した裏庭に再び目を向けた。

窓の内側からこの景色を見るコトは可能だろうが、逆にココから中の様子を確認するコトはできない。

やはり鍵となってくるのは、紛失したという座敷牢の鍵。



や、シャレじゃねーよ?ホント。

瑠璃子に促された三人は、母屋の裏口に向けて歩き出した。

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