嗤うケダモノ


取り乱し、絶叫し、ついでに足を踏み外す。

急な階段から転がり落ちた孝司郎は、慌てて傍に寄った瑠璃子の足に縋りついた。


「あなた?!
先生、これはいったい…」


「許してくれ!
そんなつもりじゃなかったンだ!
瑠璃子ぉぉ助けてくれぇぇぇ…」


…え?
早くも自白?

小さくなってガタガタ震える孝司郎をジっと見つめた由仁は…

輝く瞳をもっとキラキラさせて、辺りをキョロキョロ見回した。


「出たの?
千鶴子サンの幽霊?
ドコ?ドコー?」


「…
出たっつーか…」


半狂乱となった孝司郎に気圧されて武士モードを解除した日向が、ポツリと呟く。


「先輩を、千鶴子サンの幽霊だと思ってンじゃないスか?
またガン見してたし。
似てるらしいし。
先輩、今、人間離れしてるし。」


「えー…
まさかでショ…」


困惑の表情を浮かべた由仁が、腕の中から見上げてくる日向とダンゴ虫状態の孝司郎に、交互に視線を送る。

すると、ビクビクした様子で顔を上げた孝司郎と、バッチリ目が合った。

…試してみましょーか?


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