嗤うケダモノ

「え?
『身内が祓い屋』ってのダケは 本当だったンですか?」


「ダケって…
俺のコト、スっゲェ嘘つきだと思ってる?」


仲良く軽口を叩き合いながら、由仁が伝統美を感じる玄関引き戸を開ける。


「ただいまー。」


フツーの挨拶だな、おい。

でも、やっぱこの家はフツーじゃねェゾ?

三和土にピンポン台置いて、余裕でイイ汗流せンじゃねーか。
玄関ホールにちゃぶ台置いて、余裕で団欒できンじゃねーか。

横向きにゴロゴロ転がっていけそーな板張りの廊下伸ばしちゃって、まじで庶民にケンカ売ってやがンな、このブルジョアが!

だが、そんなモンじゃない。

廊下の奥の障子が音もなく開いて、別の意味でもっとフツーじゃない生き物が姿を現す…


「よぉ、ジーン。
おっ帰りー。」


「っ??!!」


日向はギシっと音を立てて硬直した。

出てきたのは、紫のベビードールを身に纏った女だった。

白い肌と豊満な肢体を惜しげもなく晒し、緩くウェーブする黒い髪を掻き上げる美しい女…

って、ナニソレ?!
エロい?!

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