嗤うケダモノ

赤子になったという化け狐の行方は、見当がついている。

夏の暑い日、女が死んでいたと騒いだイカレ女。
それが、化け狐と勇猛果敢に睨み合っていた女だ。

その女が連れていたという赤子。
それが、化け狐だ。

来ないというのなら、捜し出して呼び寄せてやる。

瑠璃子はコンピューター管理されていなかった頃の宿帳を引っ張り出し、丹念に調べた。

女の名前は久我杏子。

瑠璃子は探偵業者に依頼し、さらに調べた。

女は有名な霊能者。

そして… 高校生の息子がいた。

探偵業者から二人の写真を見せられて、瑠璃子は確信した。

千鶴子に瓜二つの久我杏子の息子。
コイツが化け狐に違いない。

なーにノンキに高校生活楽しんでンの?
霊能者に飼い慣らされちゃった?

まぁ、イイ。

呼び寄せて舞台を整えてやれば、大事な頼まれ事を思い出すだろう。
いや、思い出させてみせる。

困ったフリして徐霊依頼なんかして、旅館に招き入れ。

自らネットで拡散しといて、さらに困ったフリして帰りにくくして。

怪しまれないタイミングを見計らって意味深にスニーカーを出現させ、千鶴子の存在を匂わせて…

なぜか千鶴子と姉妹であるコトがバレてしまったが、今さらどーだってイイ。

秘密は暴かれた。
後は、その鋭い牙を剥くだけ。

そうでしょう?
久我由仁‥‥‥

< 438 / 498 >

この作品をシェア

pagetop