嗤うケダモノ

けれど、行かせてくれる気も、帰らせてくれる気も、ナイみたい?


「あの… 行かないで…
ココに残って…僕を支えてくれないカナ…」


ますます強く足を掴んだ清司郎が、ますます真剣な顔つきで由仁に訴えた。

って…

え?ナニソレ?
コッチもプロポーズ?

男は守備範囲外デス。
てか、日向以外は守備範囲外デス。

心底渋い顔で由仁が言う。


「嫌デスケドー」


冷たいな、おい。

それでも清司郎は諦めない。


「でも…
僕らは親子なんだから…」


「違いマスケドー」


「え…?
君は、千鶴子のコドモなんでしょう…?」


「みたいダネー」


「なら、僕の…」


「違いマスケドー!」




頑なに否定か。

取りつく島もない由仁の返答に、またもや清司郎の目は涙で潤みはじめた。

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