嗤うケダモノ
拾参
騒々しい嵐は去っていった。
残されたのは、正座したまま放心する孝司郎と瑠璃子。
由仁に敷かれたままの清司郎。
そして、清司郎を敷いたままの由仁…
あー… 静かだわー…
ムクリと起き上がった由仁は、首に手を当ててコキコキ鳴らした。
コレ… どーしよ?
なんかイイコトでも言って、収拾つけなきゃいけないの?
いやいや、ムリムリ。
めんどくさい。
てか、そんなスキルは持ってナイ。
てなワケで、放置決定☆
「じゃ、そゆコトでー。」
スクっと立ち上がって。
ヒラヒラと手を振って。
無責任にバックレようとした由仁は…
ピタリと動きを止めた。
足を、ダレかに捕まれたから。
ダレかって…
一人しかいねーだろ。
「ナニー?」
由仁は両手でしがみつく清司郎を見下ろし、首を傾げた。
「い… 行くの?帰るの?」
「うん。
行くし、帰るよー。」
野郎に、そんな真剣に見つめられてもね。
由仁はコッソリ苦笑した。