嗤うケダモノ
由仁と日向は同時に振り返った。
あー… え? うん?
なんか… いるネ。
羽毛を掻き分けて、歩いてくるネ。
白い髭。
黄色い頭巾。
海老茶色のちゃんちゃんこ…
ぬいぐるみサイズの黄門様???
ナニコレ、ナニコレ?
特撮継続中?
しかも太秦映画村で?
ヨチヨチと羽毛ゾーンを抜け出したプチ黄門様は、目を瞬かせる由仁にビっと人差し指を突きつけた。
「こりゃ、九尾!
貴様、由仁をどうした!
まさか殺してしまったのか?!」
「え? うっそ。
俺、死んでる?」
黄門様の言葉に一層目を丸くした由仁も、自分で自分を指差しながら日向を見た。
衝撃の問い掛けに由仁の下半身を凝視した日向が、首を左右にブンブン振る。
「先輩! 生きてます!
足、ちゃんとありマスから!」
…
判断基準、ソコ?
でもまぁ、生きてはいる、と。
じゃ、ナニ言ってンの?
あの特撮生命体は。
由仁と立ち上がった日向は身を寄せ合い、プチ黄門様を見下ろしてコソコソ話し始めた。