【完】白衣とお菓子といたずらと
洗い物を終えて、ゆっくりとしたかったけれど、気づけば彼女が家に来てから随分と時間が経過してしまっていた。


そりゃそうだよな、美沙は仕事が終わってから来てくれたんだ。


それにあんまりゆっくりと2人で話をしているときっと甘い雰囲気になる。すぐにでも彼女に手を出したくなる。だから、努めてそういう雰囲気にならないように努力した。


すぐにがっつく様な事を、俺はしたくない。


確かに今日こそはって思っているけれど、ちゃんと彼女の意思も確認して、そして彼女との初めてを大事にしたいと思ってる。女々しい、男らしくないと人から言われようが、それが俺の感覚だから仕方ない。


1人、浴槽に浸かりながら考えを巡らせた。


あの後、すぐに入浴をする事にした。俺がゆっくりお湯に浸かりたいという理由で、シャワー浴ではなくて、浴槽にお湯を張って、しっかり浸かる事にした。美沙も実家暮らしなのもあって、普段からシャワー浴で済ませる事はないらしく調度良かった。


俺がシャワーで済ませたくなかったのは、疲れをとるためだけじゃない。しっかりリラックスして、副交感神経優位に自律神経を働かせようと思った。


美沙といると交感神経が働きっぱなしだから。お陰で、ゆっくりと1人で考えることが出来た。


色々考えた上で、決意した。というか、俺の願望?今日こそはって。


今まで触れたいと思っても我慢せざるを得ない状況だった。けれど、今日からは違う。


「美沙も俺と同じ気持ちになってもらわないとな」


誰にも聞こえないことをいい事に、言葉にしてみた。


そうする事で自分の気持ちを再確認したかった。決意が揺るがないように。


さて、勝負をかけますか。


美沙も彼氏の家に泊まりにきたんだ、それなりに考えてくれているはずだ。


淡い期待を抱きながら、ゆっくりと立ちあがり、風呂場を後にした。
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