【完】白衣とお菓子といたずらと
脱衣所で着替えを済ませ、美沙のもとに戻ると、少し緊張した面持ちでテレビとにらめっこしている姿が見えた。


どうして緊張しているって分かるかって?そんなのすぐに分かる。


だって以前好きだと言っていたはずの芸人も出ているバラエティー番組がついているにも関わらず、ほぼ表情変わらず、テレビをじっと見つめていた。


彼女が好きだと言っていたものは、目聡く覚えているから分かる。


驚かせないように、少し離れた位置から声をかける事にした。


「美沙、お待たせ」


驚かせないように心がけはしたけれど、無駄だったらしく、俺の声に反応してビクッと大きく肩を震わせた。


そんなに驚かなくてもと、ちょっと笑ってしまった。


「美沙も入っておいで。今ならまだ温かいと思うし。温かったら調節していいから」


ぎこちなく動く美沙が気になりつつも、彼女は触れて欲しくないだろうと、何も気づいていないかの様に振舞って、入浴を促した。


「う……うん、入ってくる」


あー、今の美沙可愛いな。


恥ずかしいのか、俺とすれ違うときも、俺の目を見ずに目を伏せたまま、足早にお風呂場へと向かってしまった。


ハロウィンの日に、自分からキスをして「ごちそうさまでした」と言った人物と同じだとは思えないほどのギャップに、可愛いなと思う気持ちが強くなった。
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