【完】白衣とお菓子といたずらと
「大丈夫？」


結構な勢いで倒れてきたものだから、心配になった。


俺の問いかけに、彼女は首が落ちるんじゃないかという位に、首を激しく縦に振った。


「大丈夫だよ、ありがとう」


そう言いながら、俺の胸を両腕で押しながら、無理やりに俺の腕の中から抜け出した。


離れてしまう美沙に寂しいと感じた。


でも、ここでずっとこうしているわけにもいかない。渋々と玄関を閉め、家の中へと入った。


一歩家に足を踏み入れると、食欲をそそる良い匂いが充満していた。


「もしかして、ご飯できてる？」


「もちろん作って待ってました。今日は、あっさり和食にしたよ」


手を洗おうと、一度荷物を下に降ろすと、彼女がスッと荷物を部屋の奥へと持っていってしまった。


こういう所、すごく気が利くよな。わざとらしくないというか、自然と出来る辺り凄いと思う。


彼女の行動に感心しながらも、とりあえず手をしっかりと洗い、食事をするべくリビングへ向かった。
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