【完】白衣とお菓子といたずらと
不安だけど、会えることは嬉しいし、楽しみで彼女のいない残りの日はなんの苦もなく、病院生活を過ごす事ができた。


こんなにもモチベーションがあがるとは……俺自身が驚いている。


姉ちゃんにも試験外泊の事を伝えると、土曜の午後から旦那の実家に行くからと、迎えにだけ来てくれるらしい。


事前の掃除と、食材の買い物はしてくれるという。買い物だけで、作ってはくれないらしいけど。誰か呼べと言われ、一瞬小川さんの顔が浮かんだけれど、姉ちゃんには黙っていた。


あの人に喋ってしまったら、旦那の実家行きなんて平気で中止して、野次馬根性を発揮しそうな気がする。


「……寒っ」


想像しただけで、ゾッとして、震えてしまった。


姉ちゃんには絶対にバレてはいけない。俺の彼女でもない小川さんを、面白半分で詮索してきそうな姉に会わせるわけにはいかない。そんな事をして、彼女に逃げられでもしたら、それこそ立ち直れなくなる。


だから誰か呼べ、という部分は無視して、とくに拾いもしなかった。姉も俺の事に興味が無いのか、案外あっさりと諸計画は完了した。


あとは当日に、ちゃんと俺が気持ちを伝えるだけだ。








舞台は整った。









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