【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
今まで生きてきて、こんなに簡単にかわされた事は一度もない。
本当にこの男、何者なの?
カサカサカサ…---
何度も何度も手を伸ばしその男の持っている袋を奪おうとするが、その男も負けじと私の手をかわす。
その度に、パンの入っているビニール袋が音を鳴らした。
「へー…、やるじゃん」
「………」
やるじゃん?
…物凄く軽く見られている事に腹が立ってくる。
私の瞳が苛立ちに目を細めた。