【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
絶対にこの男からパンを奪い取ってやる。
相手の動きから次の行動を読み解こうと、ジッと目で追った。
「隙ありッ!」
「………ッ?!」
その男の動きの先を読み、素早く私は袋を取り返した。
まさか私がそいつから袋を取り返せるとは思っていなかったのだろう。
今度は相手の男が驚く番で、ソイツのツリ目が大きく見開かれた。
そいつから奪い取ったパンの袋を手に持つと足を止め、その男をジッと見た。
私と対等に動く事が出来るなんて…、
運動神経がいいの?
そうだとしたら、並大抵の運動神経ではないのだろう。
私についてこれる運動神経を持つこの男に興味を持ち、マジマジと私を見てくるこの男を見つめた。
目を逸らす事なく、お互いがお互いをジッと見る。