【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
しかしその後、言葉の続きを話す事なく私の顔をジロジロと見てきた。
何だろう?
この時間が果てしなく、こそばゆい---
暫くしてから私に背を向け、私から奪った食べかけのパンを持ったまま歩き出す。
そして端っこの方に辿り着いた九門は、その場でペタリと座った。
『お前って…』の続きが気になるのに、何も言うこともなく移動するって何なの?
そう思っていると私の長い前髪の隙間から、九門が手招きしてくるのが視界に入ってきた。
「何?」
「…ホラ、来いよ」
へっ?
戸惑っている私をジッと見てくる九門に誘われるまま歩き、九門の前に立った。