【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「早くッ!!!」
「ッ!」
その女の迫力ある声に押されるように、おもちゃ屋の脇の小道へと寝ている赤ん坊を抱えながら走った。
一瞬振り返ると、女はとても悲しそうに俺達を見ているのが視界に入る。
その様子に思わずピタリと足を止めてしまった。
「早く行ってッ!」
そう言って走り出したその女は、すぐに俺の視界からいなくなった。
バタバタバタ---
女の走る後ろから、多くの足音が騒がしく聞えてきた。
その様子にただ事ではないと分かる。