【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
最後の一口であるコーヒーを口に含んだところで、もうそろそろ帰るかと蓮を見た。
「…話しがそれだけなら帰るわ」
「待て」
立ち上がろうとしたところで蓮に呼び止められる。
「あ?」
「あの人には…、桐生さんにはまだ綾香の存在は知られてはいないよな?」
「多分な」
桐生…、
その名を聞いて風紀委員長である桐生恢を思い浮かべた。
あの何を考えているか分からない、人を寄せ付けない雰囲気を醸し出すあの男---