【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
どこに隠れているんだ?
『紅』---
………ん?
なんだ?
強い視線を感じて、片眉を上げた。
そして感じるその視線を辿るように、ゆっくりと顔を向ける。
「……?」
窓際の一番後ろで、ジッと俺を見ている女と目が合った。
第一印象は何だコイツ、オタクか?
…だった。
そう思うのはしかたがないだろう。
髪の毛がボサボサで前髪が長く、野暮ったいメガネをかけているんだからな。
そんな女が俺に強い視線を向けてくるのだ。