【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
ピクリとも動かない、青白い顔をした母さん---
まるで死んでいるようで不安になり、横にいた桐生先輩を見上げた。
「もう少ししたら起きるだろう。心配するな」
「…うん」
この人が…、
私の母さんかぁ---
初めて見る目の前のその人はとても綺麗で、子供を産んだようには見えなかった。
ソロリと母さんに手を伸ばし指先で一瞬、母さんの顔に触れた。
そしてすぐに離れる。
初めて触れる母さんに戸惑い、すぐに手を引っ込めてしまったのだ。
もう一度、
もう一度だけ触れてみよう。
意を決してゆっくりと手を伸ばし、そして母さんの頬に触れてみた。
初めて触る母さんは、ずっと液体の中にいたからかヒンヤリと冷たい。
まるで死んでいるようで、怖くてたまらなくなった。