【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


「まぁ、お前みたいなヤツがサボるわけネェしな…」




ソウデスネー---


この風貌の輩がサボりなんてそんな度胸、なさそうですもんねー。




思わず口元が綻ぶ。


今の私の表情を先生が見たらきっと激怒するんだろうけど、私の長い前髪が口元を隠していて先生からは見えないはずだから大丈夫。




フフンッ---


心の中で笑っていると先生は手に持っていた数枚のプリントを、ピラピラと私に振りながら口を開いた。



「これを今日中にやって、終わったら俺のところまで持ってこい」


そう言った先生は私の傍まで来ると、意地悪そうな顔でニヤリと口角を上げながら机の上にプリントを置いた。




………5枚もある。


面倒くさいなぁ---



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