【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
放課後の帰宅時間を大分過ぎたからか、廊下には誰もいない。
そんな中、黙々と廊下を歩くのは、綾香一人だけだった。
廊下に敷いてある赤い絨毯を踏みしめながら、目的の場所である数学教員室に向かう綾香の足取りは何故か荒々しい。
左手には放課後に居残りをして解いた数学プリント。
右手には自分の鞄を持ちながら苛立ちを含むその瞳は、この高級絨毯へと向けられていた。
何なの?
この無駄に高そうな赤い絨毯を、学園全ての廊下に敷き詰めて---
絨毯だけでどんだけお金かけてんのよ?
おかげで足音もしないじゃないっ!