【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
掴まれていた腕が離される。
そしてゆったりとソファーに腰掛けた先生を見て、私の眉間は思いっきりシワが寄ってしまった。
止まったまま動かない私を一瞥した先生はまた、座れと促してくる。
ま、まさか…、
これからプリントの答え合わせをしようとか言うんじゃないわよね?
そんな事してたら、帰りが夜になっちゃうよ。
嫌な予感に心の中で大きく溜息を吐いた。
面倒だなぁ---
それでも真面目ぶった私はそんな態度を佐伯先生には見せまいと、ススッと促された黒皮のソファーに座った。
テーブルの上には、山のように乗ってるタバコの吸殻---
そこから異様に香るヤニ臭い香りに、思わず顔をしかめる。