【完】イチョウ~あたしは幸せでした~
学校に咲いていている
イチョウの木の下で眠る男の子を見つけ
駆け寄り話しかけた。
「何してんの……??」
あたしはそう尋ねたけど、
眠っているみたいで返事はない。
「寒いでしょ?これ貸す。はい。」
そう言いながらあたしは眠っている彼の首に
自分のマフラーを巻いた。
そして立ち去ろうとした時。
「お前が寒ぃじゃん。」
そう呟いた彼。
「あたしはいいよ。」
あたしってバカだね……
寒いくせに……
そう言ってまた彼に背を向けて歩き始めた。