Love begins!!!


電車に揺られながら座り、窓の外に広がる景色を眺めていると、自然と瞼が重くなってきた。


最近バイト入れすぎたかなぁ…。

少し、寝ちゃおう…。





そして思わず乗り過ごしそうになったが、何とか最寄りの駅で飛び降りてトボトボと自宅へ向かう。


夕飯どうしようかなぁ。


マンションに着くとすっかり夕焼け空から、真っ暗になっていて冷え込んでいた。


寒いから温かいものが良いなぁー。

おでん?お鍋?あー、でもキャベツあるからなぁー。



色々考えてロールキャベツという結論に至り、自宅のある階に着くと何やら私の部屋の前で誰かが体育座りのように小さくなって座っているのが見えた。


誰…?


近付いていくとどうやら男の人で、膝に頭を乗せて寝ているようだった。


隣の人が酔っぱらって部屋間違えたのかな?


それだったらこんな寒空の下じゃなくて、早く家にと思い、私もしゃがんで男の肩を揺らした。


「あのー、こんな所にいたら風邪引きま」


私が言いかけた所で男はムクッと顔を上げて仏頂面をした。


「…遅い。」


思ったより顔が近くにあって立ち上がろうとしたが、男の顔を見て私は目を見開いた。



「え、」


私が思わず固まっていると、フッと眉を下げて笑い私の腕を掴んで立ち上がった。



「ここじゃまずいから、とりあえず上がってい?」


帽子の鍔を掴みながら顔を隠すように言われ、私は急いで鞄から鍵を取り出した。



「…あの、もしかしてお兄ちゃんの知り合いの?」


「あぁ。叶多がうちは無理になったから妹の家に行けって。」



…だからお兄ちゃんあの時。


あー!もう!

でもこんな寒空の下に放っておけるわけないし…。


「あのですね、ほんっとーに引っ越してきたばかりなので…。」


鍵を差し込み、後ろを振り返って念のため言うと、横目で少し考えた後に悪戯に笑われた。


「あー。聞いてる。叶多が妹はガサツでめんどくさがりで寂しがりで手間が掛かる奴だって。」


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