声が聴きたい


「まとめて言いますんで、ちょっと待ってください」と俺がケースを見ながら言えば「申し訳ございません、ゆっくりお選び下さい」と一歩下がった。


抱いていた肩から力が抜けたのが分かった。


過去の経験から、人見知りがちなため、店員などに話しかけられるのは苦手な和希だ。


和希にだけ聞こえるように「どれ?」と聞けば「あの、フルーツタルト、チョコフランボワーズ、レアチーズが、気になる……あと、お父さん、あのモンブラン、絶対……ね」と答える。


「あ、俺もあのチョコのやつ気になってた、半分こはあれな?」「うんっ!」


「じゃぁ~あとは俺が増やして注文するよ、いい?」の問いかけにコクコクと頷く。


「あ、すみませ~ん、注文お願いします」と言えば「はい、お待たせいたしました、お伺いします」とさっきの店員が近づく。


「えっと、レアチーズ2つ、、チョコフランボワーズ2つ、モンブラン2つ、フルーツタルト1つ、抹茶タルト1つ、えっと、これで、8だろ……あと……あ、ガトーショコラ1つ、ストロベリースペシャル1つ、で10個、お願いします。」



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