例えばここに君がいて

さっぱりした醤油顔の颯は、男の俺が見ても整っていると思う。
足の速さでは良いライバルだったが、女生徒人気は颯の一人勝ちだった。


「へったくそ」

「お前もな」


お互いのネクタイを指さしながら肩を並べて歩く。

目指すはクラス分けの表示がされた掲示板。
他の学年のもあるらしく、その場は制服姿の学生でごった返していた。
俺と颯の背はほぼ同じ、大体170センチだ。後ろの方からでも見ようと思えば見える。
同中から上がってきてる奴がいればいいんだけど、なんて願いをかけつつ自分の名を探した。


「……サトル、二組かぁ。俺三組」


先に見つけたのは颯だったらしい。落胆したような声が隣から聞こえた。


「んだよ、隣かよ。一緒なら良かったのにな」

「まあ仕方ねーか。また陸上すんだろ?」

「あったりまえ」

「じゃあまた一緒だな」

 
 腕をガツンと合わせて笑いあう。颯とは気が合う。本当は俺も、颯と一緒だったらよかったのにって思っていたのだが。

落ち込んでても仕方ないな。新しいクラスに知った顔がいないくらいなんだ。
そんなことでビビッてちゃ、この先やっていけねーぜ。

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